百物語部

私の通う学校、都立物語高校には『百物語部』と言う不思議な部活がある。
活動内容は部名の通りに、百物語をする と言う内容らしい。
らしい、と言うのも、百物語部自体の存在感がかなり希薄で、それこそ、学校の七不思議に数えられかねない程の部活なのだ、
顧問は居る。と言う話は聞いたがそれもきっと噂の範疇を出ないだろう。
さらに、いつ、どこで部活動を行っているのかが分からない、と言うのも不思議な部活と言われているの理由のひとつだ。
特筆して不思議なのは、部員の勧誘方法。
新入生は全員、部長自らが選定し、気に入った生徒は自ら勧誘に行くのだそうだ、これもまた不思議な事に、新入生は誰一人、選定された事に気付かないらしく
勧誘されて始めて選定された事が分かる、と言った具合だ。

そんな不思議だらけの部活で、他の事がどうでもよくなるくらい不思議な事がひとつだけある。
それは………

「ねぇ、君、百物語部に入らない?」

私が勧誘されていることだ。

なんで、私なんだろう。
これが一番最初に思った事だった。
私は怪談、大まかに言うと怖い物が好きでは無かった。
それが、一体、どうして勧誘される様な事になるのか全く分からなかった。
実はこの状況もかなり怖い、学校の帰りに存在自体が七不思議級の部活に勧誘されるなど怖くて当たり前だ。
夜中に変な人に会ったくらい怖い。
しかし、このまま黙っているのも良い事では無い。
だから、私は、聞きたい事を聞く事にした。
困った時はこれが一番だ。
「あの……なんで、私なんですか?他に人は一杯居るでしょう?どうして私が、百物語部の勧誘を受けているんですか?」
「簡単な事だよ、君は、頭が良いからだよ、怪談を語る上で、賢い事は大きなアドバンテージになるからね、面白そうだと思って勧誘したんだ。それに………」

「僕は、君が語る怪談に物凄く興味がある」

どうしよう
聞いたらさらに困った事になった。

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